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シリーズコラム「見えないものに価値がある」

結婚式に反対!?

2013-08-30

目黒雅叙園・衣裳課のAさんから、こんな話を伺った。



 



あるカップルが結婚式を挙げることになった。一緒になってもう15年以上というご夫婦だ。



当時は二人とも仕事が忙しくて、挙式も新婚旅行もできなかった。



そのまま時が流れてしまった。



「今さらだけど、きちんとしたい」というお互いの気持ちが強く、結婚式・披露宴の段取りをすすめていた。



 



ところが、である。



新婦のお母さんが、結婚式に反対しているという。



 



もちろん、二人の結婚に反対なのではない。



「今さら、お金をかけて派手なことをする必要はない」とおっしゃっているらしい。



けっしてケチというわけではなく、世代的には「もったいない」の精神が理由らしい。



 



最近では、ジミ婚が流行ったり、挙式そのものも行わないというカップルもいる。



たいていの場合、両家の親が立派な結婚式を挙げたがる。



それとは逆という意味で珍しいケースであった。



お母さんは、「無理にというなら、私は出席しないわ」とまでも。



そこで新郎が「一緒に食事でも」などと方便を言って、新婦の衣裳合せの際にお母さんを連れてくることになった。



 



新婦が真っ白なドレスをまとい、着替えのブースから現れた。



それでもお母さんは無表情だった。その目の前で、ティアラ、イヤリング、ネックレスと身につけていくに従い、



表情が徐々にやわらかくなっていくのが見てとれた。



 



最後に手袋をはめて、スッと立ち上った姿を見た瞬間。



お母さんの頬に一筋の涙が落ちた。



そう、母親である。本当は娘の晴れ姿を見たかった。



でも、ちょっとだけ意地を張ってしまっていただけのことだった。



そんな心の奥底にある声を、新郎が察して背中を押してあげたのである。



なんとお母さんの提案で、予定していなかったピンクのドレスのお色直しまで



することになってしまったそうだ。



 



「心の声」。見えないものに価値がある。