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シリーズコラム「見えないものに価値がある」

「残念です」と言われて

2013-03-05

「残念です・・・」

正面玄関でベルのKさんが、ご夫婦のお客さまを出迎えた際の第一声がそれだった。
まだ、何もしていない。宿泊もお食事も。
それなのに「残念です」と言われて、Kさんは言葉を失った。

タクシーから荷物を下ろしながら、話を伺いその事情がわかった。
おふたりは、九州にお住まい。久し振りに東京へ旅行に来た。
その楽しみの一つが目黒雅叙園の「百段階段」だった。
東京都指定の有形文化財だ。
飛行機やホテルはすべて旅行代理店で取ってもらった。
ところが、予約が完了した後で、「百段階段」が見られない日であることがわかったのだという。
イベントとイベントの狭間で、たまたま展示物の入れ替え作業があり
閉鎖される日に当たっていたのだ。

「なんとかなりませんか?」と訊かれたが、どうかすることもできない。
本当に「がっかりのご様子」。フロントまで荷物を運ぶ間にKさんは考えを巡らした。
そして、チェックアウトが済んだ後で、ご夫婦に提案をした。

「もしお疲れでなければ、今から園内をご案内させていただきましょうか?」
「え?!園内って?」。

目黒雅叙園は、園内のあちこちに「百段階段」に匹敵する装飾建築物がある。
エレベーターにはキラキラ輝く螺鈿細工。
化粧室(トイレ)は創業当時を再現した夢のような世界。
宴会場の天井画は息を飲む豪華さ。
なでると福が訪れるという七福神も・・・。

それらを案内させていただくと、「百段階段が見られなかったおかげで、
予想外に楽しめました」と喜んでくださったという。

Kさんは言う。
「これは入社1年目の出来事でした。ベルは園内すべてが職場です。
NОというのは簡単ですが、何とかしたい。
これがきっかけで、お客様のかゆいところに手の届くサービスをしようと思いました」

「かゆいところに手の届くサービス」。
見えないものに価値がある。