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シリーズコラム「見えないものに価値がある」

今日は芋じゃなくて、麦の気分

2012-11-05

目黒雅叙園の宴会サービスのスタッフHさんはベテランだ。

かゆいところにまで手の届くおもてなしで、お客様から信頼を得ている。

でも、誰もがそうであるように、最初から何でもできたわけではないという。

Hさんが若かりし頃の話。先輩から仕事の合間にこんなことを訊ねられた。

「おいH、あそこに座っていらっしゃるお客様のコーヒーカップ。

ここから中身がどれくらいの量残っているかわかるか?もちろん、ここから」

そんなことがわかるはずもない。

レストランの一番端に座っているお客様だ。

上から覗き込みでもしなければ・・・。


その先輩はニヤニヤしながら教えてくれた。

残量が極めて少なくて、最後の一口で飲み終わるのであれば、

カップは90度以上に傾けられる。充分に残っていれば、少ししか傾けない。

つまり、カップの傾きをいつも意識して見守り、

その傾きが大きくなったらお客様に声をかけなさいということを先輩は教えたかったのだった。
「お代わりはいかがですか?」

と。この時、Hさんはまさしく目から鱗が落ちた思いがしたという。

それ以後、あらゆる場面で、これにならった「目配り」をするようになった。


常連の宴席の予約が入ると、メンバー全員の好みのドリンクを用意してお待ちする。
前回、お客様が「この芋焼酎は美味いねぇ」とおっしゃったのを覚えていて、

テーブルに準備しておくと「ニヤリ」として喜んでくださる。

ただし、いつも上手くいくとは限らない。

「今日はさぁ、芋じゃなくて麦の気分なんだよね」と言われることも・・・。

でも、「覚えていてくれたの?ありがとう」という一言に、

もっと「目配り」をという秘めた気持ちが高まるという。

 

「目配り」。見えないものに価値がある。