目黒雅叙園 > シリーズコラム「見えないものに価値がある」 > 銀婚式のお祝い

シリーズコラム「見えないものに価値がある」

銀婚式のお祝い

2012-08-02

目黒雅叙園のアニバーサリーコンシェルジュのMさんは、

予約のお客様からこんな相談受けて、一瞬言葉に詰まった。

「何かぴったりのプレゼントはありませんか?」。

 

日々、さまざまな祝宴の企画のお手伝いをする。

誕生日、七五三、入学式、結婚記念日、成人式、還暦、喜寿・・・。

どれも人生の節目節目の大切なお祝い。

その祝宴を感動の場になるようにお手伝いするのがMさんの仕事だ。

予約されたのは姉弟のおふたりだった。

両親に「いつまでも健康で長生きして欲しい」という思いを伝えたいという。

それがキーワードになり、パッと思いついたのが、桑の木でこしらえた「長寿の祝い箸」だった。

提案すると、お客様から「え?なぜ桑の木なんですか」と尋ねられた。

桑の木で作った器や箸を使うと長生きするという「言い伝え」を説明した。

その「言い伝え」はどこから生まれたものなのだろう。

桑の木は年輪が明瞭に浮き出ている。

そのため、手のひらに樹の温もりが伝わりやすい。

そして粘り強い性質を持っているので、割れにくく長持ちするので食器として適している。

つまり、長寿に繋がるわけだ。それだけではない。

葉っぱは生薬の桑茶として飲用する。果実も薬用酒の定番だ。

ここでも、長寿を連想することができる。桑は古くは中国で神聖なる樹だったという。

日本でも霊力があると言われてきた。

おそらくは、大切なお蚕様の餌となることから大切にされてきたのだろう。

 

そうそう、もう一つ。雷が鳴ると「くわばら、くわばら」と言う。

これも、桑林に逃げ込むと雷から避けられるという「言い伝え」だ。

つまり、身を守ってくれるということ。Mさんは言う。

「実は私もこの仕事に就くまで縁起物の知識に疎くて、あらためて勉強しました。

もうすぐ母の誕生日なので、何か喜んでもらえるプレゼントをしなくてはと考えています。桑の箸もいいなぁ」。

 

「言い伝え」。見えないものに価値がある。