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シリーズコラム「見えないものに価値がある」

「え!? ピンセット!」

2010-05-21

目黒雅叙園の広報担当・Hさんは、仕事に疲れると「緑」を見るようにしているという。
この時期、日々濃くなっていく木々の緑を目にするだけでリフレッシュできる。
とはいっても、忙しい仕事の最中に散歩に出掛けるわけにもいかない。
そんなときには、ふと事務所の窓から外を眺める。
そこには、水と緑に囲まれた「ガーデンチャペル」がある。
建物の屋上庭園に配された、都会のオアシスを感じさせるチャペルだ。
その前には、まぶしいほど鮮やかな芝生のじゅうたんが広がっている。
この緑を見ると、心までもが癒されるという。

 

さて、ある日のこと。その芝生の上に人影が見えた。
「なんだろう」と思い目を凝らすと、作業着の男性がしゃがみこんで何かをしている。
その後、ちょうどガーデンチャペルに行く用事があったので、近づいて声をかけてみた。
「おはようございます。何をしていらっしゃるんですか」
「ああ、草を取っているんですよ」
作業着の人は、目黒雅叙園の庭園管理をしている庭師さんだった。
芝生を育てる一番の苦労は雑草なのだという。
風に乗ってこんなビルの上までも雑草の種子が飛んでくる。
ときには、鳥が運んでくることもある。ほっておくと、芝生は草でぼうぼうになる。
「普通はね、除草剤を撒くんですが私は使いたくないんです。
万一、ここで幼い子がハイハイをしても危なくない環境にしたい。
そのために、コレを使っているんです」
と笑顔で目の前に差し出されたものは・・・。

 

「え!? ピンセット!」

pinset.jpg

なんと一本一本、芝生の中からピンセットで雑草の芽を抜いているというのだ。
なんという手間だろう。
そして、その手間のおかげで美しい緑を楽しむことができる。

 

「手間」。見えないものに価値がある。

 


「雅」Vol.34 掲載