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シリーズコラム「見えないものに価値がある」

「家族にありがとう」

2009-09-15

それはお嬢さんからの依頼だった。 「父親の77歳、喜寿のお祝いの会を目黒雅叙園でお願いしたいのです」 話をすすめるうちに、 「父が何か考えていることがあるらしくて。一度、話を聞いてやってもらえませんか」 とおっしゃった。 お父さんが訪ねて来られ、こんなお願い事をされた。 喜寿の祝いとともに、金婚式のお祝いもしたいというもの。 アニバーサリーコンシェルジュは「おや?」と思った。 奥さんは、ずいぶん前に亡くなられたと聞いていたからだった。 「妻が生きていたら、一緒になって今年で50年目になるのです。 ぜひ、金婚式をして、みんなに祝ってもらいたいと思って」 当日に向けての準備が始まった。年齢にもかかわらず、パソコンがお得意。 家にある写真を、プロ顔負けのスライドショーに仕立てて持ち込まれた。 スタッフとともに、会場でテストを重ねた。 kazoku.jpg さて、「喜寿」&「金婚式」の当日。 お父さんの作られたスライドショーが、家族や駆けつけてくれた友人たちの前で披露された。 奥さんの友達も出席してくれた。50年前の、結婚式や新婚旅行の様子がスクリーンに映し出された。 奥さんが病気で倒れ、車椅子の生活を余儀なくさせられてからも、2人でよく旅行に出掛けた。 そんなワンシーンもあった。 ところが…。 それに続いて、お嬢さんや、お婿さん。そして、お孫さんの写真が次々に登場した。 それが、お父さんの気持ちの表れだったのだという。 「家族のみんな、ありがとう」。 それが伝えたくて、「金婚式をやりたい」と言い出だされたのだとわかった。 その後、親戚、友人が一堂に介して、その場でにこやかに記念写真を撮った。 「ありがとうの心」。見えないものに価値がある。
「雅」Vol.29 掲載